peace makerのお肉について

peacemakerの取り扱うWAGYUは信州上田菅平高原にある。天空の牧場ダボス牧場伊藤氏が育てる市場流通しない特殊個体を使用しております。 基本ベースとして、霜降りの入らない自然で健康的な和牛。日本短角和種×黒毛和種の意図的交雑種、ハイブリッド短黒和牛。 短黒和牛とは、旨みの強い赤身肉の短角牛と、きめ細やかな口溶けのよい(霜降り)の黒毛和牛を自家交配させ、それぞれの長所のみを残した和牛です。 食べている飼料も完全無農薬の牧草に加えて、りんごやぶどうの絞りかすとおからを発酵させた発酵飼料を食べ、牛たちの腸内環境からこだわり、 広大な敷地に放牧されノンストレスで育った自然体のオーガニックミートです。 また、通常の月齢の若い処女牛ではなく、母牛のもつパワーを追い求めた経産牛をメインにしています。 当店肉に関しての注意点は、霜降りや、柔らかさを求めてはいません。 肉本来の嚙み締める旨みを追い求めた和牛になります。それが「peacemakerwagyu」です。

健康な牛の肉はとろけない。

人のからだは食べ物によってできている。からだの健康を考えるなら、当然、食べ物となる牛や羊などの飼料や育て方も安全な方がいい。 標高1600メートル、長野県菅平高原にある「ダボス牧場」では、健康な牛を育てるため、牛に負担のかからない飼料を独自につくっているという。 「健康な牛」とはどういう牛なのか。ダボス牧場経営者の伊藤氏は語る。
鮮やかな霜降り。肉汁の輝き。噛んだ瞬間のなんともいえないジューシーな甘味。 牛肉のプレゼンスは、その見た目の美しさと、あっという間に口のなかでとろけてしまう柔らかな甘味に収斂されている。 ところが、この「見た目」と、瞬時に消えていく柔らかさの正体が「油」や「脂肪」だと知ったらどうだろうか。 ダイエットが大きな市場を生み出す時代、いわば油や脂肪がとかく嫌われ、不健康とされる風潮のなかで、 どういうわけか私たちは牛肉という記号を通じて大量の油を旨さの特権として胃袋に流し込んでいる。 この特権は、牛肉の「ランク」や値段という記号化された商品市場を形成する。 牛肉は記号であって、私たちはこの記号の体系を通して、牛肉の旨さを不確かな人間の舌の上で評価する。 だが記号を食べるといっても、そこには物質としての肉がある。この物質を生産する過程がある。 そしてその物質たる肉牛をつくるという仕事がある。肉牛をつくる人がいる。

不健康な牛が作られる

長野県菅平高原を見下ろす根子岳の中腹に広がるダボス牧場の牧場主である伊藤氏は、ここで33年間にわたって牛や豚や羊を育てている。 原野を切り開き、土地をならし、牧草の種を撒くことから始まった。霜降りの黒毛和牛がもてはやされる一方で、 肉牛、乳牛の生産がいま危機的状況に陥っている。肉牛を「つくる」現場で何が起きているのだろうか。 「牛の肉をつくるということは、肥満児をつくるということだ」と伊藤さんは言う。 牛は本来草食動物であるから、牧草を食べて育つ。ところが伊藤さんは「それでは健康的な牛が育ってしまう」と皮肉交じりに語る。 「牛をはやく大きくするためには高カロリーの飼料が必要で、生産性を高めるために牧草以外の飼料を食べさせなければならない。 時間をかけて育てるのでは生産性が低くなる。短期間に大きくして、霜降りにして、脂身をつけるというのは、人間にとって都合の良いい飼い方であって、 それはきわめて不健康な牛をつくるということになる」黒毛和牛は産まれておよそ30か月で食肉になる。産まれる前に10か月胎児として育つため、 種付けから肉の生産まで40か月かかることになる。 さらに踏み込めば、母牛を育て、種付けができるまでに15か月かかる。 つまり、肉が生産されるまでに4年間の月日が必要となる。当然、生き物である牛を育てるためには365日24時間飼育に拘束されることになる。 肉の生産のためには、とてつもない時間と手間がかかる。だから伊藤さんは、肉をつくるのは現代の経済的な観点からみて生産性が極めて低いと言う。 現在ダボス牧場は100頭の牛を飼育している。そのうちの50頭が繁殖牛で、牛は一年に1産であるから、年間50頭の子牛が産まれることになる。 その半分を肉として育てる。残りの半分は、肥育牧場に売って現金に替える。それが生産過程の元手となっていく。

“A5”は味の基準ではない

伊藤さんは、この生産性の低い牛の飼育に経済効率という観点を持ち込む時に、「不健康な牛」が生み出されると考えている。 「はやく大きく」することが経済効率を高める。そのために餌に改良が加えられてきた。 国内外の大部分の牧場では、高カロリーで高タンパクなもの、 つまりトウモロコシ、小麦、大豆等からなる配合飼料によって「はやく大きく」することが当たり前になっている。 しかし、これはあくまで「改悪」だと伊藤さんは睨んでいる。トウモロコシ、小麦、大豆、これらは国内生産が低いことはよく知られている。 大部分はアメリカやオーストラリア、中南米からの輸入品だ。人間が直接口にするものと違って、 配合飼料では遺伝子組み換えに関するチェックがあまくなっている可能性があると伊藤さんは警鐘を鳴らす。 また生産性を高めるために、急速な生産を促すためのホルモン剤や抗生物質の投与も疑われる。 私たちは、過度に太らされ、脂肪がたっぷりの不健康な肉に舌鼓を打っているのかもしれない。 肉の旨みではなく、油や脂肪の味を楽しむように味覚が訓育されているかのようだ。 伊藤さんは、こんな風潮のなか「健康な牛」にこだわり続ける。この考え方を飼料メーカーと共有しながら、牛に負担のかからない飼料を独自につくっている。 もちろん、肉になるまでの時間はかかる。でもそうやってつくるのが肉の味なのだと伊藤さんは言う。 「スーパーや焼き肉店でよく目にするA5黒毛和牛といったランクは、おいしさの基準ではなくて、 あくまで生産―流通側がつくり出した規格です」アルファベットは牛の大きさを示す記号。数字は霜降りの基準。 「大きくて霜降りがたくさん入ったものに高い値段をつけて売ろうという規格」であって、意図的につくり出された値段の基準にすぎない。 私たちは、それをブランド品として愛でて、まるで味の基準だと勘違いさせられている。伊藤さんは、肉選びの考え方には4つの要素があると指摘する。 「見た目、おいしさ、安全性、値段」である。「この4つの要素がすべてそろった肉はないと思った方がいい。どれかが欠けているものが店頭に並んでいるんです」

信州上田菅平高原ダボス牧場伊藤さんがつくる肉は、脂身が少なく、口の中ですぐにとろけたりしない。 しっかり噛むことで肉の味がじわじわと口の中にひろがる。これこそが肉の味だ。 肉をたべるということのまわりに、あまりにも多くの記号化された味がまとわりついている。 穀物飼料めぐるグローバルな、戦争状態が、脂の甘味を肉の味だと訓育された消費者たちの舌と味覚に端を発するならそんなばかな話しはない。 何が旨くて、何が安全なのかを測る厳しい味覚と価値観を消費者が鍛えなおすことが、健康な牛を食べ続けるための方法なのかもしれない。
ぜひ皆様も信州上田菅平高原ダボス牧場に足を運んでみてください。牛糞のにおいをかぎながら、どこまでも広がるダボスの牧場の空の下で、 草を食む牛たちのとなりで、伊藤さんと(健康な肉)についてじっくり話してほしい。たぶん、いつでも伊藤さんは何時間でも話してくれる。